事態は思ったより、深刻らしい。



「コウちゃんは?」


「当たり障りない情報しか出てきません」



パソコンの画面が、俺と雪乃が腰かけている白のソファーのほうに向けられる。


そこには、『風都千果。15歳。高校1年生。日本生まれのアメリカ育ち。2学期から白薔薇学園に留学』という無難なプロフィールが記載されていた。



たった、これだけ。


血液型も誕生日も家族構成も、基本的な情報がところどころ抜けている。


初めて知ったことといえば、白薔薇学園に留学しに来たことくらい、か。




「白薔薇学園つったら、雪乃と同じ学校じゃねぇか?」


「ええ、そうね」


「何かあいつの噂とか、聞いてねぇの?」


「セイちゃんの妹としてじゃなく、天才少女の風都千果としての噂なら、夏休み前から流れていたわ。彼女の数々の功績とか、留学に来た彼女がこっちではどんな名誉を得るのかとかね。それくらい、良くも悪くも注目されているのよ」