番犬男子





幸汰の顔つきが、変わる。


あたしを探るような、疑念とためらいを帯びた顔。



遊馬も同じ顔をしている。




「さっき言ってた会いたい人って、もしかして……」



その問いかけが、最後まで紡がれることはなかった。


未完成なまま、放たれる。




もう、わかっているんでしょう?




「たぶん、2人が予想してるとおりですよ」


「それじゃあ……」



遊馬が唇を引き結ぶ。


あたしの名前を聞いて、2人が動じないわけがなかった。




「そう。あたしは、双雷の総長……侍に会いたいんです」





2人が“彼”の正体に気づいたように。



あたしも2人の反応を目の当たりにして、


2人の正体に確証を得た。




――やっぱり、そうなんだね。