『お兄ちゃんのことを何も知らない……知ろうともしなかったくせに、あたしを止めないで。あたしは、お兄ちゃんに会いに行く!』


『ダメだ!』



痛みを我慢して起き上がるあたしを、今度はお父さんが阻止した。


無理やりベッドに押さえつけられる。



『お父さん、放して!』


『許可するわけにはいかない』


『なんでよ!行かせてよ!!』



両腕と両足をジタバタさせても、お父さんの抑止はちっとも緩まらない。




『あたしからお兄ちゃんを奪おうとしないで……っ!』



あたしはお兄ちゃんから両親を奪ったのに、我ながら自分勝手だな。



だって、仕方ないじゃないか。


お兄ちゃんのいない日々は、考えられないんだ。




『もうお兄ちゃんに傷ついてほしくないの!!』


『だからこそ、だ』



……え?