俺は奇跡的に軽傷?
それは千果が俺を守ってくれたから。
奇跡でもなんでもない、必然だ。
俺だけ苦痛が少なくて無事じゃあ、これっぽっちも意味がない。
――『妹さんは、全身打撲していて、特に背中がひどかったの』
千果の分まで、俺が傷を負えばよかったんだ。
そうすれば、千果が傷つくことはなかった。
――『雪で圧迫されてしもやけした背中の皮膚に、たぶん雪に混じってた石や木がぶつかっちゃったのね、ただれてめくれていたの』
千果は、俺を助けに来てくれただけなんだ。
それだけだったのに、なんで。
――『それに、背骨が折れていてね。今背中を手術しているのよ』
なんで、俺じゃなくて千果なんだよ。



