番犬男子




え。

待て。


待って。



『なんだか……眠い……』


『ダメだ!寝るな!!』



俺の阻止は利かずに、千果の瞼は完全に閉じられてしまった。


血の気がドッと引いていく。



ここでまた意識を失う意味は、千果に比べたら断然頭の悪い俺でもわかった。


千果が、危ない。




『千果!起きろ、千果!!』



何度も何度も必死に話しかける涙声は、宙を裂くばかりで。


青白く眠りにつく千果には、届かなかった。



このままじゃ、2人とも死んでしまう。




どうして俺は、こんなにも弱いんだろう。


どうして俺は、強くないんだろう。



千果を守れるくらい、強く、なりたい。