番犬男子





不意に、千果が立ち止まった。



『千果?どうしたんだ?』


『……音、が』


『音?』



千果の呟きに潜む不安が、俺にも伝染する。



音って、なんだ?


俺も千果の隣で、静かに耳を澄ます。



すると、遠くからかすかに、予期せぬ重厚な音がした。



『なんの音だ?』



その音はだんだん大きくなっていく。


千果と共に、音のする方向におずおず眼を向けた。



『ま、さか……っ』



横で千果が息を呑んだことに気づかないくらい、俺も吃驚と混乱と恐怖で絶句していた。




霞んで映る、狭い視界の枠に収まらないほどの、大量の雪。


ゴオオオオ!!、と凄まじい勢いで木々をなぎ倒しながら、こちらに迫ってくる。



雪崩だ。