番犬男子






あぁ、俺、情けねぇな。



千果の兄貴なのに、千果に八つ当たりしてきたくせに、千果に助けられて。


今まで苛立っていたのが嘘みたいに、自分を心配してくれる家族がいて嬉しくて。



嫉妬とか反抗とか、全部全部、バカらしくなった。




『お兄ちゃん、帰ろう?』



スキーグローブに包まれた小さな手を、優しく差し伸べられた。



俺には、帰る場所がある。

居場所が、在る


独りじゃない。



俺はためらいがちに、それでいてしっかりと千果の手を取った。



『うん、帰ろう。一緒に』




今の俺はダサくて気弱で、格好つかないから、帰ったら伝えよう。



助けに来てくれてありがとう。


今まで冷たく当たって、無視して、ごめん。


千果のこと、嫌いになったことなんてない。


大好きだよ。



そう、照れくさくても、ちゃんと真っ直ぐ伝えよう。