あたしだって、お兄ちゃんが手当てしてくれるこの素敵な機会を拒否したくないよ?
でも、ごめん、今回は無理。
傷ついたのが背中じゃなかったら、あたしからお兄ちゃんに手当てを頼んだんだけどな。
無自覚に強盗犯に背中を向けちゃったあたしが悪いんだけど。
「いや、ほんと、自分でできるから!お兄ちゃんは気にせず休んでてよ!ね?」
「頑なだな」
「意外だな」
稜と遊馬が、あたしらしからぬ言動をジト目で訝しむ。
「どうしたの、千果さん。もしかして変な物でも食べた?」
幸汰なんか、悪気なく嫌味を言ってきた。
食べてないわ!
「千果、おとなしく傷を見せろ」
「え、えっとですね……お兄ちゃんの手を煩わせるほどじゃないっていうか、ツバをつけとけば治るっていうか……」
「早くしろ。悪化したらどうすんだ」
「そっ、それに!こんなに人がいる前で背中を見せるの、恥ずかしいし!」
「わかった、お前ら出てけ」
えー!?



