そう時間もかからずに到着した目的地は、双雷のたまり場である洋館。


傷はそこまで深くないから、病院じゃなくたまり場を選んだのだろう。




お兄ちゃんが足で扉を豪快に開けた。


洋館内には、万が一のために洋館に留守番していろ、とお兄ちゃんに指示されて、下っ端数人がホールに待機していた。



お兄ちゃんたちの派手なご帰還に吃驚する。



「総長!?」


「お、お疲れっす!」


「あ、あの、魁皇の下っ端だったやつらは、どうなりやした!?」



留守番組に「ああ」とスルーまがいな返答を適当にしながら、それどころじゃなそうにお兄ちゃんはホールを突っ切る。


調理室の反対側にある、左手の奥に設けられた部屋に、直行した。




この部屋は、看護室。

学校で言うところの、保健室だ。


こういうところの独特な消毒の匂いは、しない。



初めて入った看護室には、具合が急に悪くなったり、ケンカの際に重傷を負ったりした場合のための真っ白いベッドが2台。


一通り手当てできる道具、どこでも治療できるように持ち運べる救急箱もある。