番犬男子





強盗犯は二度も警察から逃げ延びたけど、今回はさすがに無理だろう。


逃げたくても、逃げられない。




「これでもう、終わりにしろ」



命令に似たお兄ちゃんの言葉は、あたしには残忍な優しさに感じた。


反論の声は、飛ばされない。




「お前らは俺らには勝てねぇよ。――一生な」




これでもなお、復讐を続けようと反撃してくる愚か者は、ただの1人もいなかった。



これだけ圧倒的な勝敗がついたら、バカでもわかったはずだ。


悔しくても、今の彼らが双雷に敵うものなど何もない、と。





遠くで、パトカーのサイレンが聞こえてくる。




終わった。


これは、終わりの合図だ。



夏休みから続いた道化の復讐が、やっと終幕を迎えた。