長期戦を見越してじっくりじっくり甚振っていこうと、最初はどこか手を抜いて遊んでいた風な今までとは、明らかに違っていた。
一方的だった。
完全に怖気づき意欲を失った者が多く、防御もろくにできずに殴られっぱなし。
強盗犯を始め、ちゃちなプライドが邪魔をして無理やり闘争心に火をつけた者も少なからずいたが、結果は同じ。
より一層強く勇ましくおどろおどろしくなった双雷に、魁皇の下っ端だった程度の力しかない格下が、傷ひとつ与えられるはずもなかった。
しばらく、聞き心地の悪いノイズが、あちこちから何度も何度も響いた。
静まり返った頃には、不良集団は誰も立ってはいなかった。
強盗犯と他数人は、立ち上がろうとしても体力が尽きて身体が言うことを聞かないようで、朦朧としながらも、ただただ双雷を仰いでいた。
「警察呼んでおいたから、もう少ししたら来るぜ」
途中でケンカを中断して通報していた稜が、スマホを見せびらかしながら、不良集団に追い討ちをかける。



