番犬男子






刹那。

お兄ちゃんの目の色が、豹変した。



「……お前、今こいつに何しやがった」


「っ!」



お兄ちゃんが放つ禍々しい殺気に、強盗犯は悲鳴すら発せられずに息を呑む。



怖い、けど、かっこいい。




穏便に済ます気のないお兄ちゃんは、足で強盗犯のナイフを強引に払った。


そのまま威力をつけて、重い蹴りを強盗犯の顎に直撃させた。



「ぅぐぁっ」



よろついて後ずさった強盗犯を、横から、憤った幸汰が跳びながら殴りかかった。




「まだ気ぃ失うなよ?」



一抹の間もなく、幸汰のエルボーがねじ込まれる。



「ぐほっ……!」



強盗犯は血反吐を漏らし、力なく両膝をついた。