番犬男子





お兄ちゃんは時々お母さんとお父さんと連絡取り合ってたけど、あたしとの電話はこれが初めてだ。


記念すべき初電話を、こんな時にかけてしまったのが本当にほんっとーに悲しい。



「って、今はそんなことどうでもいいの!本題に入るよ?」


『ああ、なんだ』




ファーストフード店に不良集団が突撃してくる気配は、今のところない。


そりゃそうだよね。

逃げてる途中でお店に入るとは、普通思わないもん。



ホッと胸を撫で下ろし、脳内で現状を整理した。




「元魁皇の下っ端たちがついに動いた。狙いはやはり双雷。作戦であたしを人質にしようと、繁華街であたしを探してる。人数は約50人。リーダーはコンビニ強盗の犯人っぽい」



いきなり中間報告が始まり、口調が格式張り硬くなったにもかかわらず、お兄ちゃんは口を挟まずに聞いてくれた。



「連絡が終了し次第、西方面に逃走する予定。元魁皇の下っ端たちも同じく西方面に行ってる。パトロール中だとは思うけど、西方面にて救援及び撃退よろしくね」


『了解』


「お兄ちゃんから他のメンバーに連絡してくれる?」


『ああ、わかった』