番犬男子






強盗犯たちの計画では、たぶん、こう。



夏休みにあたしが立ち寄ったコンビニ辺りにあたしを見つけられるだろうと考え、まずここであたしを待ち伏せして、力づくで拉致する。


そして、あたしを人質に取り、有利な状況下で双雷にケンカを売り、勝つ算段だった。



あたしが強盗犯たちと同じくバカだったなら、まだあたしの拉致が成功する可能性はあっただろうが、現実はそう甘くない。




「前回は逃がしてやったがな、今回は徹底的に負かしてやるよ!」



舌打ちをして息巻く強盗犯の背後で、大勢の不良が余裕ぶった嗤笑を漏らした。


ジリ、と半歩詰め寄られても、あたしは仁王立ちを保つ。



「言っとくが、この人数相手に抵抗しねぇほうが、お前のためだぜ?」



は?


抵抗せずに人質になるのを望んだほうが、あたしのため?



面白みのない冗談ね。