番犬男子





どんな作戦で挑んでくるか、期待も興味も持たずに考えていた。


バカはバカなりに水面下で画策していたみたいだけど、……なんだ、バカげた単純思考で諸突猛進にぶつかってるだけじゃん。



あたしを探していた時点で、どんな作戦かバレバレ。




「なんだ、あんたまだ捕まってなかったの?」



浅い息をつきながら、振り返る。



「さっさと潔く自首したらどう?」


「……相変わらず癇に障るな、この女」



同感だね。

あたしも強盗犯の全てが癇に障る。



それでもわざわざ対応してあげたのは、夏休み明けの報告会でのお兄ちゃんと幸汰の会話を覚えていたため。




『魁皇が対応しても、言うことを聞かずに計画を続行したら、どうするんですか?』


『そん時は、さっき雪乃が言ってたようにする』


『それって、直接片付けるってことですか?』


『ああ。もう二度と俺らにケンカを売ろうとは思えなくなるくらい、容赦なくな』




元下っ端たちが魁皇をやめた後、魁皇の幹部以上が何も行動を起こしていないという情報は、すでに双雷は掴んでいる。


ならば、元下っ端たちが矛先を向けている双雷が、真正面から成敗するしかあるまい。



だからあたしは、魁皇の計画の簡易な全貌に気づいていながら、双雷がきちんと今回の騒動を片付けられるように、対応してあげたんだ。




感謝しなよ、不良集団。