僕はあやふやな気持ちのまま、千果さんを見つめ返した。
風都千果。
日本生まれのアメリカ育ち。2学期から白薔薇学園に留学生として招待された、高校1年生の女の子。
未だにそれくらいしか情報は掴めておらず、初めの頃と進展はあまりしていない。
初めて会ったのが、強盗騒ぎが起こったコンビニだったせいだろうか。
風都千果という人間の、僕ら双雷とは違う正体不明の“強さ”が、なんだかすごく怪しく感じた。
それでも。
目の前にいる人間が風都千果であることは、彼女に僕が番犬だということを知らしめた時にはすでに把握していた。
だが、彼女が総長の妹であることは、結局今でも明らかになっていない。
総長は戸籍謄本で真実を知ることを、最後の切り札として避けている節があった。
――まるで、本能では気がついてる答えを、現実を、拒んでるみたいに。



