番犬男子





あとはお兄ちゃんだけだよ。



キラキラした眼差しをお兄ちゃんに送り続ける。


飲んで飲んで!

褒めて褒めて!



お兄ちゃんはあたしを一瞥しながら、恐る恐る湯飲みに口をつけた。


ごくり、と番茶を飲む。



「……美味い」


「ほ、ほんと!?」


「ああ」



やったー!


お兄ちゃんの『美味い』いただきましたー!!



思わず大きくガッツポーズをしたら、みんなに失笑された。


もうなんなの。

みんなして、あたしがツボなの?



「本当にセイちゃんが大好きよね」


「あははっ、リアクションでかすぎだろ!」



あたしは雪乃と遊馬の言葉に恥じらいつつ、自分の湯飲みを手に取り、番茶で喉を潤した。


うん、やっぱり美味しい。