番犬男子





湯飲みを五つ置き終え、空いているお兄ちゃんの隣のスペースに座る。


最後の1つは、お兄ちゃんに手渡し。




「はい、どうぞ」


「お、おう、サンキュ」


「毒とか惚れ薬とか入ってないから、安心して飲んでね、お兄ちゃん!」


「……逆に怖ぇよ」




あ、湯飲みに注ぐ時に「美味しくなあれ」って、愛情はたーっぷり入れておいたよ!



「総長、騙されたと思って飲んでみてください」



おいこら、幸汰。

フォローの仕方が間違ってる。


そこは素直に「美味しいので飲んでみてください」くらいでいいんだよ。



何をしても完璧な天才のあたしが淹れたんだから、騙されたと思う必要もなく、美味しいに決まってるでしょ。




「美味しいわ、チカちゃん」


「んっ、うめぇ!」


「美味しいです」


「幸汰並みだな」




ほらね。


雪乃と遊馬と幸汰と稜は、一口飲んで、絶賛してくれた。