番犬男子





あたしは幸汰に、番茶の他に買ってきたチョコレートフレーバーの茶葉を預け、稜からトレーをもらう。



「お茶淹れてきたよ」



にっこり笑顔で告げると、なぜかお兄ちゃんが渋い顔をした。



「お前が淹れたのか?」


「うん、そうだよっ」



間髪入れずに自信満々な返事をしたら、黙られてしまう。


なんで?



あたしは番茶の入った湯飲みを、テーブルに並べていく。


いつの間にか、稜は遊馬の隣に腰掛けていてびっくりした。




「なあ、稜」


「ん?」


「千果との買い出しはどうだった?」


「別にフツー」


「その『フツー』の内容が知りてぇんだってば!」




投げやりに返され、遊馬は不服そうに唇を尖らせた。


稜はそれ以上、買い出しのことは話さなかった。