番犬男子








近道した割に予定より大分遅く、双雷のたまり場に着いた。




あたしは稜を引き連れて、幹部室に行く前に調理室に立ち寄った。



早速調理室に置いたままにしていた急須と湯飲み、それから買ってきたばかりの茶葉を使って、幸汰に教えてもらった通りに番茶を淹れる。


あたしと幹部以上を含め、きっちり6人分。



フレーバーティーをみんなにおすすめするのは、次の機会にしよう。




湯飲みを乗せたトレーを稜が持ってくれて、あたしはチョコレートフレーバーの入った袋片手に、調理室の扉を開けた。


階段を上って、幹部室に移動する。



「ただいまー!」


「チカちゃん、ロウちゃん、おかえりなさい。遅かったわね」



幹部室では、赤のソファーにお兄ちゃん、黒のソファーに遊馬、白のソファーに雪乃と幸汰が座り、4人でトランプをしていた。



3つのソファーが囲っているテーブルの上には、トランプのカードのみ。


ティーカップは1つもなかった。



よかった。

まだ何も飲んでないみたい。