番犬男子





稜はうっすら目を見開いて、やるせなく口を曲げた。



「……そうだ、そうだった。お前に嘘は通じねぇんだったな」




左目を隠してる理由は、他にあるんでしょ?


稜に悲しい顔をさせる、特別な理由が。




短い息を唇の隙間から吐き出し、観念した様子であたしを瞥見した。



「お前に見られると、話したくなる。格好悪ぃとこも情けねぇとこも、全部」


「なんで?」


「なんつーか、見透かされてる気分になんだよ」



ふーん。

そんなこと、初めて言われた。



見透かしてるつもりはないけど、話したかったら……話して楽になるなら、話せばいいよ。



あたしが聞いてあげる。


稜の格好悪いところも情けないところも、拒まずに。