番犬男子





いい反応ね。

簡単に隙を狙えそう。


稜の後ろから、のらり、動いて。


隣に並び、ダメ男の仲間を見据える。



「稜」


稜にしか拾えない小声で呼んだら、稜は視線だけあたしに移した。



合図なんか要らない。


倒す時が来たら、迷わず闘って。



そう続きを言わなくとも、稜は「了解」と理解してくれた。




あたしはダメ男の仲間を冷徹な眼光で射抜きながら、緩く口角を上げる。



「あんたのシャツ、裏表逆だよ?」



さっきダメ男に掴まれた胸ぐらあたりを、親指と人差し指でつまんだ。