番犬男子





ダメ男は、汚らわしそうに扱われた自分の手を握り締め、一変してあたしに腹を立てた。


短気なのはどっちだか。



「なに?本気で告ったわけじゃねぇのに、初めてナンパされて思い上がって誤解しちゃった系?いかにも賢い女風に英語で拒んでさー、ははっ、キモ」



「うっわ、こいつ、めんどくさ」

「は?」



心の内での独り言が、誤って口に出して呟いていたらしい。


しかも、どうやらダメ男に聞こえてしまったようで、憎々しげに顔つきを強張らせていた。




「あんたよくそれでナンパできたね。自分がいい男だとでも思ってるの?それこそ思い上がりだよ」


「んだと?女だからって容赦しねぇぞ!」



脅されても、あたしは動じない。




『お前も容赦しねぇよ?』


番犬のほうが、もっとずっと迫力があった。



あんたなんか、怖くない。