番犬男子






「こいつで遊んでんじゃねぇよ」



高圧的な低音が、殺気を帯びて放たれる。



あたしというより、“稜の彼女”に興味を持ってからかったんじゃない?


煩わしかったから、稜が代わりに静かにさせてくれてスッキリした。




「うぜぇんだよ。失せろ」


「あ?」



稜の威嚇に負けじと、片方の不良が強気に睨む。


年上で成人してる不良2人は、双雷幹部1人を前にしても、余裕そうにしていた。



もう1人の不良は、悠々とあたしに近寄ってきた。



「あんな怒りっぽい彼氏、嫌でしょ?」


「えっと……」



どこからつっこめばいいの?



「あー、言わなくてもわかってる。わかってるよ」


「…………」



あたしはとうとう呆れて何も言えなくなった。



何をわかってるの?


何もわかってないでしょ、あんた。