不意に、稜が顔を近づけてきた。
「俺のそばから離れんなよ」
耳元で囁かれ、意図を汲み取る。
稜も知ってたんだ。
あたしの買い出しに付き合わされた、本当の理由を。
あたしが凛々しく頷いたのを確認してから、稜は1人分の幅しかない狭すぎる路地を進んだ。
コツン、と稜の足元にあった石ころが、どこかへ転がっていく。
「ん?」
「おい、あいつって……」
顔を上げた不良2人が、路地を出て目の前に現れた稜と、その後ろにいるあたしに気がついた。
稜は相変わらずの無関心モード。
素通りして行こうとした、が。
「うっそ、まじ?仁池稜が女連れてるとこ、初めて見たわ~」
「やべぇな!いいネタゲットだぜ、あははっ!」
はあ?



