番犬男子






「今日も、魁皇の下っ端が大量に抜けたっつーどうでもいい噂が流れてたし」


「んなことより、もっと面白いネタくれよって感じだよな」



20代前半くらいの不良は、2人してタバコを吸いながら、愉快に笑う。


その噂話に、あたしと稜は顔を見合わせた。




『俺ら双雷に歯向かおうとしてるやつらでも、一応魁皇っていう族に族してるやつらだ。俺らが動く前に、魁皇の総長らがけじめとして何か対応すんだろ』


夏休み明けの報告会での、お兄ちゃんの言葉が、過る。




……ついに、いや、やっとか。


案外、遅かったな。



魁皇の上層部がずっと下っ端を戒めていたのか、最近ようやく下っ端を罰したのか。


それとも、下っ端が反発して、自ら魁皇をやめたのか。



どれであったとしても、予想の範囲内。




噂自体は信ぴょう性は低いが、この噂は正しい気がする。


常識のある上層部までもが、下っ端の無謀な企みに手を貸すとは考えられないことを考慮した上で、想像していたいくつかのパターンのうちの1つだったから。


何より、こういう時のあたしの直感は、外れない。