番犬男子





30回以上お願いしてみたけれど、お兄ちゃんの返答は変わらない。


うぅ、ひどい。




「下っ端に買いに行ってもらえばいいじゃねぇか」


「それじゃダメなの!」



遊馬にさらっとされた提案を、ばっさり拒否する。


ずっと待ち望んでた、お兄ちゃんとの初デートのチャンスを逃したくない。




俯くあたしの頭上で、はああああ、と盛大なため息が落とされた。


お、お兄ちゃん?



顔を上げようとしたら、その前にお兄ちゃんの手のひらが重く置かれ、お兄ちゃんを見れない。



「じゃんけんだ」


「え?」


「俺ら5人でじゃんけんして、負けた1人がお前と買い出し。それでいいか?」



それは、お兄ちゃんなりに考えて、妥協してくれた案だった。



本当は、お兄ちゃんとがいい。


でも、『やだ』と嫌がっていたお兄ちゃんは、最大限にあたしのわがままを尊重し、チャンスを残してくれた。



なのに駄々をこねられるわけがない。