うるうる上目遣いをしても、「一生のお願い」を使ってみても、可愛らしく甘えてみても、お兄ちゃんは意見をひっくり返さなかった。
どうしてよ!
「いいじゃんか!少しの間、一緒に出かけるだけだよ?」
「いわゆるデートってやつね」
「そうっ!」
「……すげぇ嫌だ」
「えー!?」
雪乃の一言で、お兄ちゃんはより一層顔を歪めた。
あたしと2人なのが嫌みたい。
お兄ちゃんが、女子と2人でデートすることを苦手としていて。
嫌いではないけど好きでもない異性と、好き好んで2人きりでデートをするタイプじゃないってことは、百も承知。
未だ明白になっていない妹となら、なおさら。
無理を言ってるのもわかってる。
それでも、あたしとお兄ちゃんの2人だけの思い出を、ひとつでも多く増やしたいの。



