今度はあたしの番。
幸汰から急須を受け取って、先ほどの実演通りに手を動かす。
うまくできる自信はあった。
なんたって天才だし。
一回工程を見てたんだから、できるに決まってる。
実際、本当にうまくできた。
さっき幸汰が注がなかった、残りの湯飲み3つに番茶を少しずつ淹れていく。
そのうちの1つを飲んだ幸汰は、右の親指を立てた。
「ん、うまい。完璧だよ」
やったー。
幸汰のお墨付きだ。
コツはもう掴んだし、これでお兄ちゃんにいつでも番茶を出してあげられる。
あたしは、初めてにしては上出来すぎる番茶を自画自賛しながら、呟く。
「お兄ちゃん、喜んでくれるかな」
「きっと喜んでくれるよ」
だったらいいな。



