番犬男子






幸汰はあたしの意見に流され、とりあえず残りの番茶の茶葉を全て使うことにした。


幹部室から持ってきた急須と湯飲みを調理台の上に置き、お茶を淹れる準備をする。



「じゃあ、今から淹れるから見ててね」


「わかった」



幸汰の美味しい淹れ方講座は、説明を挿みながら実演を通して教えてくれた。



慣れた手つきで3つの湯飲みに番茶が注がれ、湯気が立つ。


あたしは湯飲みを1つ手に取り、香りをたしなんだ後、一口飲んでみた。



「美味しい!」


「よかったあ」



ほっこりする。


あまりの美味しさに、「水出しする淹れ方もおすすめだよ」と付け足す幸汰の説明を聞きながら、進んで二口目を飲んだ。