みんな、思いがけなさそうにしていた。
あたしが幸汰を留まらせたのが、そんなに意外?
「なに?」
「あたしに番茶の美味しい淹れ方、教えてくれない?」
美味しい淹れ方をマスターできれば、家でも番茶を出せて、お兄ちゃんとおばあちゃんに喜んでもらえる。
好感度アップ間違いなし。
それに、こういうのは調べて自分なりに試すより、幸汰に教えてもらったほうが早い。
「いいよ」
「ほんと!?ありがと!」
あたしのお願いを快く了承してくれた幸汰に近寄って、笑顔を向けた。
そのシーンを横目に観覧していた雪乃と稜が、小さく噴き出して。
お兄ちゃんと遊馬は、2人の関係の変化を目の当たりにして、少し驚いていた。
「いつの間に懐いたのかしら」
「さあな」
「ふふっ、まるで猫みたいね」



