雪乃にもう一度お礼を伝えた。
ありがとう!
雪乃のおかげだよ!
一気に賑やかになった幹部室。
お兄ちゃんは騒がしさにこっそり、半分保護者気分で呆れ半分仕方なさそうに馴染みながら、読みかけの本を閉じた。
「幸汰、茶をくれ」
「はい」
和気あいあいとした楽しい会話をBGM代わりに聞きつつ、部屋の角にある立ち作業用のテーブルで、ティーカップを磨いていた幸汰は、早速今日出すお茶を選ぶ。
たまにお兄ちゃんが何のお茶が飲みたいか希望するけど、大体は幸汰セレクト。
いいセンスしてるんだよね。
「ねぇ、幸汰!あたしにもお茶ちょうだい」
「うん、わかった」
「今日のお茶は何?」
「うーん……番茶にしようかな」



