あたしも女子高生たちも、予想外の出来事に驚きを隠せない。
幸汰は叩かれた左頬をそのままに、這いずるようにずらした瞳で女子高生の集団を捉える。
「こ、幸汰くん、ごめんなさ……っ!」
幸汰の禍々しい殺気に、ビンタしてしまった女子高生は恐怖で謝罪を詰まらせる。
女子高生の集団全員、そろいもそろって顔を青ざめていた。
尖った金色の瞳は、容赦なく女子高生の集団をグサグサ突き刺した。
「失せろ」
“番犬”の声だった。
「わ、わ、私たちは、この子を注意しようとしただけで……」
「すみませ……」
「失せろっつってんだ」
なんとか印象を良くしたくて取り繕う女子高生たちの言い訳も懺悔【ザンゲ】も、無価値で不必要。
殺伐とした番犬は、ただただ女子高生の集団を軽蔑した。



