番犬男子





正論を言われて口ごもる女子高生たちは、悔しさに駆られて、真っ赤な顔を険しくさせる。



影でリンチする女子にはありがちな、言い返されて逆ギレする短気なタイプが多いみたい。


あー、怖い怖い。




「なっ、なにこいつ……!」


「あんたにだけは言われたくない!あんただって、私たちと同じじゃん」


「自分は双雷のみなさまに気に入られてるって思いあがってんの?うわー、恥ずかし」


「ブスのくせに生意気なんだよっ」




女子高生たちが、口々に罵る。


半分以上聞き流していると、女子高生の集団の背後に、知ってる顔があった。



幸汰だ。



今日は日直や委員会などの仕事があったのか、今たまり場に向かってる最中のようだった。


絶賛いじめ中のこの道を、通ってもいいか迷っている。



不意に、幸汰と目が合った。


先に外したのは、あたしのほうだった。