番犬男子






「無視すんじゃねぇよ、クソビッチが!」



集団の中の1人が、いかにも下品な悪口を投げた。



ビッチ?

あたしが?


笑えない冗談はやめてよね。


あたしはお兄ちゃん一筋だ。




いちいち悪口に反応することすら面倒で、言わずもがなスルーしたら。


またまた女子高生の集団は、あたしの前に立ちはだかった。


テイク3だ。



このままスルーしても永遠ループしそう。


それは面倒どころじゃないな。




「ちょっと、いい?」



集団の先頭にいる女子高生が、目をギンギン光らせて、執念をたぎらせてる。



よくないけど、しょうがない。


あたしはため息を吐いて、一度足を止めた。