番犬男子






電車が到着した。


開いた扉から電車に乗る。



発車した電車が、ガタンゴトンと規則的に揺れながら、次の駅へ走っていく。




今日はお兄ちゃんとどんな話をしよう。


昨日は(無理やり)お兄ちゃんの趣味である映画鑑賞を基に、好きな映画を調査……コホン、もとい何気ない会話をした。




今のお兄ちゃんのことを、もっと知りたい。


お兄ちゃんにあたしのことを、知ってもらいたい。



そのうちに仲良くなったあかつきには、妹の存在や10年前の“あの日”の出来事を思い出しやすくなるかもしれない。






電車は颯爽と2駅を過ぎ、地元の最寄り駅に着いた。


あたしは電車を降りて、駅を出た。



急いでおばあちゃんの家に帰って、お兄ちゃんが既にいるであろう双雷のたまり場に行こう。


お兄ちゃんが待ってる……とは思えないけど、ポジティブにそう思うことにする!

思うだけならタダだもんね。



駅周辺だからか人通りが激しい道を、足早にたどっていった。