番犬男子







放課後、帰る時は、雪乃とは別々。



雪乃は早めに帰ったり、先生や生徒に頼られて遅くなったり、日によって様々らしい。


それに、あたしと雪乃が2人で下校していたら、学園中で良い意味でも悪い意味でも噂になってしまう。


さらに堅苦しい思いをしなければいけなくなることが嫌なのは、お互いさま。



だから、昼休みに一緒に昼食を摂っていることも、秘密にしている。






そういうわけで、放課後になった本日も、あたしは1人で下校している。


白薔薇学園の敷地を出て、駅に行き、ホームで電車を待つ。




あー、早くお兄ちゃんに会いたい!



今朝、お兄ちゃんが言ってくれた『嫌いじゃねぇよ』を、脳内でリピート再生する。


ぐへへ、なんて薄気味悪い笑みを思わず漏らしてしまって、いけないいけないと引き締めた。




お兄ちゃん、知らないでしょ?



兄妹の距離を近づけようと努力してるあたしを、お兄ちゃんはいつだって自覚なく遠ざけるけど。


近づけるのも、お兄ちゃんのほうなんだよ。