番犬男子






あたしは、駅に行く途中でお兄ちゃんと別れた。


駅に着いて乗った電車の中では、お兄ちゃんとの初登校を何度も回想し、ニヤついていた。



また途中まででいいから、お兄ちゃんと一緒に通学路を歩きたいな。







白薔薇学園での生活は、初日とほとんど変わらない。




未だにクラスメイトに腫れ物扱いされ、友達がいない。



仕方がない。


あたしはアメリカで数々の実績を残していて、学園側から留学生として招待してきた、自他共に認める天才だ。



そんなあたしに、他のみんなと同じように接しろ、と普通の態度を求めるほうが難しいだろう。



あたしも大して不満もない。



あたしは日本に友達を作りに来たわけじゃない。


さらなる勉強の追求と、お兄ちゃんと再会するために来たんだ。


それらが叶っている今、不満どころか満足している。