「それは困るな」


ため息まじりに呟く。



強盗犯は、勝ち誇った様子で口角を上げた。



「ああ、そうだよな。困るよな」


「うん、困るよ」



何度も頷きながら、耳を澄ます。


あたしの計算どおりなら、そろそろかな。



「だって、」



――来た。




「ソレであたしを刺しちゃったら、さらに罪が重くなるよ?」



それは困るでしょ?


あたしじゃなくて、あんたが。



「説得しようったってそうはいかねぇぞ」


「本当にいいの?これがラストチャンスだったのに」


「は……?」