番犬男子





一人称が「私」で女口調で、優しくて優雅で、そこら辺の女子よりも断然美人。


あたしの隣にいる雪乃は、そういう人。



「それなのに雪乃自身を否定したり、おかしいと遠ざけたりすることのほうが、よっぽど変だよ」


「……っ、そう、かしら」


「そうだよ!」



少なくともあたしはそう思ってるよ。


隣を見れば、雪乃は瞳を潤ませていた。




「好きなものは好き、その何がいけないの?」


どこが気味が悪いの?

どうして偽らなくちゃいけないの?



何も悪いことなんてない。


気味悪く思うところなんてない。



偽って苦しんでたら、好きな気持ちも重荷になっちゃうよ。




「自分自身にも影響を与えるほど好きになれる物があって、それを共有できる家族がいるって、すごく素敵なことだと思うけど?」




違う?


そう聞く代わりに、雪乃に笑顔を向けた。