番犬男子





首を横に振られ、あたしは仕方なく口をつぐんだ。



騙してなんかないよ。


雪乃は、学校でも“雪乃”だよ。



「それに、今更本当の自分を見せても、また気味悪がられるだけよ。私はそれが怖いの」




あたしには、初めて会った時から見せてくれてた。


偶然、あたしがたまり場に来ていたからなんだろうけど。



あの時も雪乃は、


『私、驚かせちゃった?』


悲しそうな表情をしていた。



あの時、心の内側で恐れていたの?




「でも、チカちゃんは、最初から態度を変えなかったわね。双雷のみんなでさえ、初めは驚いていたのに」



雪乃の綺麗さには息を呑んだけどね。



あたしは、サラリと揺れるミルクティー色の髪を視界の隅に映しながら、口元を緩めた。



「だって、それが本当の雪乃なんでしょ?」