番犬男子





昼休みの時は、言いにくそうに俯いてた。


それなのに、どうして考えが変わったの?



「あら、簡単になんかじゃないわ。これでも結構悩んだのよ?」



そんな風にはちっとも見えない。


でも、これだけははっきり断言できる。

雪乃は嘘をついていない。



「悩んで、悩んで……ふと疑問に思ったの。チカちゃんに話したら、どんな反応が返ってくるんだろうって」


「それで、考えが変わったの?」


「ええ、そうよ」




稜と幸汰は何も言わなかった。



はっきり正体がわかってない者に、部外者に、雪乃にとって大切なことをペラペラ話してもいいのか。


2人とも、雪乃の決意を無視して踏みにじってまで、そう反対することは愚かだとわかっているんだ。




「聞いてくれる?チカちゃん」



あたしは隣の雪乃を真っ直ぐ見つめる。


当たり前じゃん。