「あたしがあんたをバカって言った理由を教えてあげる」
理由は、2つ。
と付け足して言って、悠々と指を2本立てる。
強盗犯は苛立って、舌打ちをした。
モデルガンはもうダメだと思ったのか、先ほど気になった不自然なポケットに手を入れる。
「理由その1」
強盗犯がポケットから何かを取り出した。
そのタイミングに合わせて、あたしは炭酸ジュースを強盗犯に向けて、蓋を開けた。
瞬間、ブシャアァ……!、と炭酸ジュースが強盗犯の顔めがけて噴き出した。
「うわあああっ!!?」
間抜けな悲鳴と共に、強盗犯の手から、ポケットにしまわれていた物が落とされた。
床に落ちたのは、折りたたみ式のナイフ。
「ポケットにもうひとつ、凶器を忍ばせてることがバレバレなこと」
あ、よかった。
店員には、強盗犯が盾になってくれたおかげで、炭酸ジュースに濡れてない。



