番犬男子





財布やスマホなどの必要なものをカバンに詰め込んで、あたしは部屋を飛び出した。



「いってきます!」



颯爽と家を出て、お兄ちゃんに会いにたまり場に向かった。






茜色に染まる繁華街を抜けて、人気の少ない道を進む。


たまり場に到着し、洋館の扉を開けた。




「お兄ちゃーん!!」



中に入るやいやな、迷惑極まりない大声をホールに反響させる。


しかし、ホールには誰もいない。



なんだ、誰もいないんだ。

大声出して損した。




左側にある遊戯室からも、賑やかな声は聞こえてこない。


いつもなら下っ端たちがあの部屋でゲームをして盛り上がってるのに。



みんな、パトロールに行ってるのかな。




洋館内がしん……と静まり返っていて、拍子抜けしてしまう。


あたしはとりあえず、幹部室に行こうと階段を上っていった。