番犬男子





雰囲気はこれっぽっちもおかしくないし。


責めてないし。


修羅場でもないわ!



ていうか、あたしと雪乃が付き合ってるっていう前提で喋らないでくれる?


別に付き合ってないから!

むしろ、女友達に近いから!



火に油を注ぐだけだとしても、周りの言う通り強気な態度で思いっきり反論してやろうか。



「ふふっ」


ふと、雪乃が笑みをこぼした。



つられて、雪乃に視線を戻す。



あ、いつもの雪乃だ。


表情には、もう、寂しさを忍ばせてない。




「チカちゃん」


「?」



雪乃がそっと、あたしの耳に口を寄せた。


周囲から、主に女子の叫び声が響く。