「……だから、なんだろうな」
「え?」
あたしはポツリ、小さく呟いた。
白薔薇学園であたしの噂を聞いていたから、なんでしょ?
雪乃が、他の双雷のメンバーより、あたしに好意的に接してくれたのは。
何も証拠がなく、調べても限られた情報しか得られない。
そんな状況下で、雪乃だけは、夏休み前から白薔薇学園で流れていた、あたしの噂を知っていた。
だから、お兄ちゃんの妹かどうかは置いておいて、あたしが風都千果本人だということは早々に確信できたんじゃない?
「今なんて言った?」
雪乃は、あたしの呟きを拾えなかったようで、首を傾げて聞き返した。
言い直そうとして、やめる。
もうわかっていることを、わざわざ確かめるのはちょっと野暮だね。
「あー、えっと……あっ、そうそう!雪乃さっき、『“僕”なんか』って言ってたよね?」
拙すぎた話題転換に、雪乃は全部見透かして含み笑いした。



