番犬男子





え、なにその動揺っぷり。


まさか、あたしを騙せてるとでも思ってたの?


とんだ自信家ね。



天才の目を欺けるわけないじゃない。




「撃ちたければ撃てば?」


「……っ」


「さあ、どこからでもどうぞ?」



銃を前にしてるというのに身構えたり怖気づいたりせず、ましてや余裕そうに上から目線な態度を取っているあたしを、誰もが不可解そうに様子見していた。



拳銃の引き金は、一向に引かれない。


ほらね。

思ったとおり。



「撃たないの?」


「そ、そんなわけ……」


「あ、言い方を間違えた」



露骨に焦り出す強盗犯の言葉を、棒読みで遮る。



「あんた、撃てないんでしょ?」


「っ!」



「だって、それ、ただのモデルガンじゃん」