あー、おっかし。
あたしがバカだとかイカれてるだとか、絶対にありえなさすぎて、お腹が痛い。
たとえそうであっても、あんたにだけは言われたくないわ。
「あたしがバカなわけないじゃん。バカなのはあんたのほうでしょ?」
笑いを抑えながら、強盗犯を鋭い眼差しで射抜いた。
強盗犯の顔が険しくなっていく。
「お前、この状況わかってんのか?」
だーかーらー、わかってるってば。
わかってなかったら、ただのアホでしょ。
「また何か言ったら、撃つぞ」
「あっそ」
殺気を含ませた威嚇を、たった一言でいともあっさり流した。
強盗犯から極悪人ぶったキメ顔が失われていく。



