凍てつく殺気に、血の気が引く。
強盗犯もバイク男も、幸汰を纏うどす黒いオーラに息を呑んだ。
「せっかく、総長を卑しめたことへの謝罪と否定をするチャンスをくれてやったのに」
「んんっ!!」
「時間の無駄だったな」
刹那、ドスッ!、と鈍い音が路地裏に響いた。
最初は、何が起こったのかわからなかった。
が、強盗犯がお腹を抱えてうずくまる姿を見て、目を丸くする。
幸汰が、強盗犯の口を覆っていた手を放して、真っ青な顔で暴れる強盗犯のお腹を殴ったのだ。
懲らしめるために実力行使に出ることは、ここに来る前から覚悟していた。
強盗犯とバイク男が、話をして改心するとは思えなかったから。
でも。
ここまで幸汰は暴力的になってしまうの?
まるで、子犬から狼に豹変したかのよう。



