動揺している2人とは裏腹に、幸汰は冷静に応える。
「なんでって、そんなの決まってます。あなたたちを懲らしめるためです」
極端な態度の差が、双雷と魁皇の差もほのめかしていた。
こんな時まで敬語を使わなくてもいいと思うけどな。
低レベルな連中に礼儀を尽くしたってしょうがないでしょ。
幸汰の視線が、あたしに向けられた。
「先日、こちらの方を誘拐されましたよね?」
「ゆ、誘拐?なんのことだか」
強盗犯は白を切って押し通すつもりらしい。
頭が低レベルなら、嘘も低レベルね。
バレバレすぎて、いっそ憐れだ。
「人違いなんじゃねぇの?」
バイク男まで強盗犯の嘘に乗っかってきた。



